受験を勝ち抜くために必要なもの
「知彼知己、百戦不殆。不知彼而知己、一勝一負。不知彼不知己、毎戦必殆(彼を知り己を知れば百戦殆ふからず 彼を知らずして己を知れば一勝一負す 彼を知らず己を知らざれば戦ふ毎に必ず殆ふし)」
良く知られた、孫子「謀攻篇」の記述が元となってできた故事成語です。戦う相手がどうであるかを知らねば勝機はありません。大学入試も然りです。何をどうすることが必要で、そのために為すべきは何かを知らなければなりません。さもなくば「必ず殆ふし」です。
早い段階から目標を掲げる
単純に言って、目標はできるだけ早く、そして具体的に決めたほうが良い結果が得られます。
ある生徒の実例をお話しします。
その生徒は、中学生(通っていたのは地元の公立中学です)のころから『ジャーナリストになりたい』という希望を持っており、マスコミ系の就職では最強と言われる早稲田大学の政治経済学部に入学することを目標に掲げていました。そのため、中学校時代は(第一志望は地元の公立トップ高校)全教科をまんべんなく勉強していましたが、高校(志望通りに公立トップ校)に入ると、早稲田政経合格のために、自分に最も適していると思われた世界史を選択受験科目に定め、英・国・世界史以外はほとんど勉強しませんでした(テスト前の1週間だけは他の科目も勉強したそうですが)。
結果は見事に現役合格。「高3の夏休みの段階で世界史が仕上がり、英・国もまずまずだったので不安はあまりなかった」と言っていましたので、危なげない合格であったという感じです。
目標(志望校)を定め、その合格に必要なものを頑張る。目標が早く定まれば、準備期間が長くなりますから、突破の確率が上がります(最難関私大に学年ビリから合格したあの女生徒も、高2の夏に志望校を決め、1年数か月の間、「必要な勉強だけ」をしています)。
大学入学共通テスト
「彼」を知るうえで、現在最も気になるのは、大学入学共通テスト(以下、共通テストと表します)という人が多いのではないでしょうか。改悪という声もかなり聞かれるこのテストですが、実施されることとなったのですから、知るべきことを知らなければなりません。
おおまかには、大学入学者選抜大学入試センター試験(以下、センター試験と表します)の改定版で、ほぼ同じ位置づけと考えてかまいません。国公立大学の一般選抜受験者は、原則共通テストを受験しなければなりませんし、多くの私立大学では共通テストの成績を用いる「共通テスト利用方式」を設定していますから、その意味でも変化がありません。
この「共通テスト利用」に、「単独型(大学作成の独自問題を課さず、このテストのみで合否を決定)」、「併用型(このテストおよび、小論文を含む独自問題の両方の成績で合否を決定)」の2つのタイプがあることも同じです。解答形式もセンター試験同様マークシートで、記述式解答は、今のところ見送られています(2024年には実施となるかもしれません)。
英語は大幅に変化するので注意!
試験時間が変わった科目がある、出題内容が変わった科目があるなど、センター試験と比較した際の違いはいくつかあります。しかしながら、知っておくべき違いとして、何よりも大きいのは英語です。
英語では、(それ以外にも異なった点はありますが)出題内容の配点が大幅に変更されます。内容をリーディングとリスニングの2つに大別すると、センター試験では8:2であったものが、5:5となります。非常に大きな違いです。同じ問題での仮定比較を行ってみますと、リーディングが得意で90%得点でき、リスニングは少し弱く、60%が得点できる生徒の場合、センター試験(リーディング200点:リスニング50点の合計250点)では、180+30=210点で、得点率84%とまずまず良いのですが、共通テスト(100点:100点の合計200点)では、合計150点となり、得点率が75%まで下がってしまいます。
逆に、リーディングが不得意で50%しか得点できないものの、リスニングは得意で90%取れるという生徒の場合には、センター試験では100+45=145点で得点率は58%にしかなりませんが、共通テストならば、合計140点で、得点率は70%に跳ね上がります。リスニングが実に大きな意味を持つこととなったわけです。
他の教科・科目では、数学Ⅰ・Aの試験時間が70分と、10分長くなったこと、「思考力・判断力・表現力」を問うという観点から、特に理科や地歴・公民では、センター試験では見られなかった形式の問題が入ってくるなどのことがありますが、英語のドラスティックともいえる変化からすればそれほど大きなインパクトは感じられません。
模試についての解説
「己を知る」ために不可欠なものが模擬試験です。受験生ならば、誰もが受けるでしょう。たいへん重要なものですが、留意しておくべきことがらがあります。
まず、『普通の』模試は、最大公約数的な問題が多くを占めているという点です。早めに目標を定め、その大学の出題傾向も分析して準備をしても、多くの模試では、その出題傾向に合致した問題はあまり多くは出ません。中には、特定の大学の出題傾向や出題形式に合わせた模試(○○大模試といったもの)がありますが、それらを除けば、理系・文系、さらには短大受験生までが受験するため、何かの「色合いが濃い」問題は用いられないと考えて良いのです。
何のために遊びたい気持ちを抑えて勉強しているか。それは当然、模試の偏差値を上げるためではなく、「自分の」志望大学の志望学部に合格するためです。模試が絶対ということはないのですから、その成績に振り回されず、うまく利用しなければなりません。
模試の利用法として最も重要なのは、『普通の』模試で偏差値60が取れるかということです。学力がこのレベルになれば、その教科は過去問を軸に勉強することができるためです(偏差値60は目安に過ぎませんが、多くの大学にあてはまります)。
偏差値を60(=まずまずの学力)に上げることができた教科は、過去問をしっかりやりこめば、多くの場合、合格ラインを超えることができます。
ここでも、ある受験生の実例をお話しします。上述の生徒が合格した早稲田政経との併願者が非常に多い、慶應経済学部第一志望の生徒です。この生徒は、日本史・英語・小論文での受験でした。慶應の経済学部の日本史は、江戸以降しか出ません。その代わり、ハイレベルな論述問題が出され、それが合否をかなり左右すると言われています。入試の配点は420点中150点(英語は200点、小論文が70点で、英語をまず採点し、得点による足切りが行われるようです)、この生徒は、高3の10月末に英語の偏差値が60台に乗り、その時、日本史の偏差値は55前後であったのですが、そこで勉強のスタイルを過去問中心に変えました。慶應経済の過去問を10年分揃え、それを3周り徹底的にやり込みました。一般的な受験問題集を解く時間の数倍を過去問に充てたそうです。そして、それが奏功し、合格をものにすることができました。
この生徒は、模試の日本史は最後まで偏差値50台のことが多かったと言っています。上に述べたように、普通の模試の「最大公約数的な出題」では、江戸時代よりも前の内容も多いですから、そうなっても当然です。けれども、志望校の出題の傾向と内容に特化した、ピンポイントの対策こそが自分のすべき勉強と確信していたため、模試の成績に落胆することはありませんでした。それが勝因です。
まとめ
最難関私大の合格者の例を2つ挙げましたが、どの大学でも同じです。
要するに、必要な勉強は何であるかを、志望校の出題傾向やレベルを把握して確認し、自らの現状と照らし合わせて為すべきことをしっかりと見据えて頑張るのです。そうすれば、満足のいく結果が得られる確率を大きく高めることができます。
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